立派な計画ほど、動きません。これは皮肉でも逆説でもなく、多くの会社で実際に起きていることです。時間とコストをかけ、分厚く精緻な中期経営計画を作る。けれど半年後には、誰も見ていない。そして経営者は「計画の出来が悪かったのだろう」と考え、次はもっと良い計画を作ろうとする——この繰り返しに、心当たりはないでしょうか。
断言します。計画が動かない原因の大半は、計画の出来栄えではありません。それを実行に変える「構造」が無いことにあります。
01 — 分かれ目計画は、出来栄えでなく「実行構造」で動く
計画には二種類あります。実行される計画と、飾られる計画。その分かれ目は、精緻さや分厚さではありません。むしろ、立派で精緻な計画ほど、現場には「自分の仕事とは関係のない、上の作文」に見え、誰も手をつけない完成品として棚に飾られる。一方、粗くても、現場の毎日の行動に翻訳された計画は、動きます。
ここで誤解してはいけないのは、「だから計画は薄くていい」という話では断じてないことです。現実には、中身が足りなさすぎて実行できない計画の方が、はるかに多い。何をどうするかが具体的に詰まっていなければ、現場は動きようがありません。問題は「厚いか薄いか」ではなく、実行に足る中身があり、かつ、それを動かす構造があるか。立派さをいくら足しても、構造がなければ動かないのです。
02 — 構造動く計画は、「3つの接続」でできている
では、その「実行構造」とは何か。突き詰めると、計画を3つのものに接続することです。逆に言えば、動かない計画は、このどれかが切れています。
この3つを作ることが「実行構造」の正体です。中身を厚くする前に、まずこの接続を確認する。計画が動かない会社は、たいてい、中身ではなく接続の問題を抱えています。
03 — 弱点日本企業が、とくに切らしている接続
3つの接続のうち、日本企業がとりわけ弱いのが③、計画と実績のズレにどう対応するかです。ここに、海外の優れた企業との差が、はっきり出ます。
外資系企業の多くは、計画と実績のズレを、細かい粒度で・短い周期で追います。月次、ときに週次で「予定と実績がどれだけ離れたか」を見て、離れていれば即座に原因を分析し、打ち手を組み替える。彼らにとって計画は「立てるもの」ではなく「回すもの」で、その感覚が組織に染み込んでいます。
一方、国内企業では、計画は立派に立てるが、立てたあとの追跡が甘い。年度末に「未達でした」と振り返るものの、なぜズレたのか、どこで手を打てたのかが分析されず、翌年も同じズレを繰り返す。
計画の精度で負けているのではない。ズレを管理する力で、差がついている。
そしてこれは、才能ではなく、仕組みで埋められます。何を・どの粒度で・どの周期で見るか。ズレたとき、誰が・何を判断するか。この「ズレ管理」の型を持つだけで、計画は見違えるように動き出します。市場の変化が速く、計画の前提が年々崩れやすくなっているいま、求められるのは「崩れない完璧な計画」ではなく、「崩れたとき、すばやく組み替えられる計画」です。計画とは、一度作る文書ではなく、回し続ける経営の運転そのものへと変わっていきます。